国土交通省は3月19日、1月1日時点の公示地価を発表した。全国2万6000地点を調べたところ、全用途平均と商業地は4年連続で上昇し、住宅地も2年連続で上がった。三大都市圏でも全用途平均で2.0%、住宅地が1.0%、商業地が5.1%とそれぞれ上昇幅を拡大した。
地方圏も商業地が2年連続、住宅地では27年ぶりに上昇して地価上昇の勢いが広がりを見せている。札幌・仙台・広島・福岡の地方4市の商業地は9.4%と大幅に上昇し、住宅地でも4.4%とともに前の年に比べ上昇幅を拡大。訪日客の増加に伴うインバウンド需要が地価を底上げしており、地方4市を除くその他の地域でも商業地が26年ぶりに横ばいと下落から脱した。全国で地価が最も高い地点は、13年連続「山野楽器銀座本店」で1平方㍍当たり5720万円(3.1%上昇)となり、公示地価の最高記録を更新した。
全国の上昇率を見ると、住宅地のトップ10は、北海道の倶知安町が1位、2位、4位と3地点がランクインし、沖縄が2地点と訪日観光客需要が地価上昇をけん引していることを印象付けたほか、名古屋市が5地点ランクインして存在感を出した。
商業地の全国上昇率でも倶知安町が1位だった。上位10地点に最も多く顔を出したのが大阪の4地点、京都府の3地点、沖縄県2地点と続いて東京圏のランクインはなかった。外国人観光客による店舗・ホテル需要が地価を押し上げた。
不動産協会の菰田正信理事長は、「地価上昇は地方に波及しているのが特徴。局地的に上がり過ぎている現象も出ており、これが新しい用地取得を難しくしてマンションの新規供給が減っている原因一つだ」と説明する。
地方に投資マネー波及とは言っても東京の地価も引き続き強含んでいる。住宅地は、23区全体で4.8%上昇してすべての区で上がり、千代田区を除いて上昇幅も拡大。東京圏での上昇率1位は、渋谷区恵比寿西2丁目(15.0%上昇)だった。2位には北区滝野川5丁目(12.5%)がランクインしたほか、荒川区や足立区など昨年同様に城北・城東エリアが上位10地点に入った。マンション・戸建住宅が新築・中古ともに高止まりしていることで割安な地域を探す消費行動を反映している。
商業地も同様のトレンドを示しており、東京23区で7.9%上昇(同6.4%上昇)とすべての区で上がり、渋谷区を除いて上昇幅が拡大した。昨年同様に、高い上昇率を示すのは都心からその周辺エリアの台東区や江東区、荒川区、北区など周辺の区に移っている。
東京圏の商業地上昇率1位の台東区浅草の弘隆ビルは374万円(34.7%上昇)となっており、観光地である浅草寺などを抱えて、外国人観光客の増加していることで店舗・ホテル需要がおう盛だ。東京圏上昇率トップ3は、浅草エリアが独占した。