安心R住宅推進協議会(三津川真紀代表理事)は、適性価格での中古住宅流通を目指して富山県内の主要銀行と連携し、良質な住宅認定事業として「富山既存安心住宅」をスタートする。同協議会富山支部と地元の正栄産業(森藤正浩社長)が北陸銀行、富山銀行、富山第一銀行と提携して開始する。銀行が建物価値にコミットするのが特徴で、既存安心住宅の認定基準の策定段階から金融機関が参画できるようにした。
富山既存安心住宅の認定には、建物の基礎情報や瑕疵担保責任保険、コンブライアン、インスペクションの質と結果、住宅性能、アフターケア、履歴、価格妥当性など計30項目を点数化(3~1点)して総合的な流通の安全性をクリアする必要がある。認定を受けた中古住宅には住宅ローンの金利優遇を用意する。
建物評価や建物の維持保全計画の策定・実行は事業者が担当する。良質な住宅としての耐用年数の算定も行い、継承が難しい建物との判断に至れば取り壊しや建て替えなどの対応の必要性もアドバイスもする。
三津川代表理事は、「リフォームやリノベーションなどが最近の流行りであるものの、消費者の気を引きやすいデザイン性に収れんしているビジネスモデル。見栄え、見た目をきれいにして流通させている。本来、中古住宅は、流通前に建物の検査・調査が必須。建物の性能・状態を把握して、それに金融・保険が支える流れが一体となることが中古住宅の流通活性化につながる」と強調。建物診断の能力が乏しい一般的な不動産仲介にはないアプローチで中古流通を図る。北海道・秋田・熊本でも同様に取り組みを実施する予定。
正栄産業の森藤社長は、「富山では中古住宅の下落が止まらない。認定事業により値崩れを防止する効果に期待。適性価格を維持していく市場を創出したい」と述べ、同社にとどまらず他社にも広げていきたいとした。
北陸、富山、富山第一の3行は、今回の認定事業に合わせて住宅ローン商品の改訂を一斉に実施した。来年4月から住宅ローン商品の販売を「住宅ストック維持・向上促進事業」として試行的にスタートする。5月には富山既存安心住宅の初弾物件も販売する予定。