アットホーム/地場不動産仲介の景況感、首都圏・近畿圏は売買・賃貸ともほぼ横ばい

アットホームは8月3日、全国の加盟店を対象に「地場の不動産仲介業における景況感調査(2018年4-6月期)をまとめた。売買仲介を見ると、首都圏・近畿圏の業況DIは、いずれも前期比プラス0.1ポイントとほぼ横ばい。首都圏DIは47、近畿圏DIが48.5となった。4-6月期だけで見ると、14年1-3月期からの調査開始以来最高となった。

首都圏では、埼玉県が前期の調査で過去最高水準となった反動を受けて49.5と前の期に比べてマイナス5.5ポイント低下したものの、東京23区(46.7)や都下(45.5)、神奈川県(45.6)、千葉県(48.2)の4エリアと比較すると依然高い水準にある。

不動産事業者からは、「東京都心では高止まり傾向が強く値下がり傾向はない。年内までこの傾向が続く」(品川区)、「売却依頼は増えたが、価格が高すぎて購入希望者との差か広がった」(豊島区)、「20年までに売却したい人が多い」(横浜市)、「退職後の移住は横ばい。30代~40代の若年層の移住希望者が微増」(千葉県館山市)といった声が上がっている。

近畿圏では、京都府が56.5(前期比プラス2.9ポイント)と5期連続でDI50超をキープした。大阪府は46.4(前期比プラス0.9ポイント)、兵庫県が47.4(マイナス4.1ポイント)となった。

近畿の地場事業者は、「若年層は新築傾向。中年・高年層は中古住宅への傾向が強い」(尾大阪府和泉市)、「地価上昇に伴い売価が上がった」(京都市)などの声を拾っている。

次期の見通しは、首都圏で神奈川県と埼玉県が上昇するほかは下向きを予想し、近畿圏は大阪府・京都府・兵庫県とも下向きを想定している。

一方、賃貸仲介の景況感は、首都圏のDIが前期比マイナス1.7ポイントで47.4、近畿圏では同マイナス0.1ポイントの46.7だった。1年前の水準と比べると、首都圏が4.3ポイント高く、近畿圏も0.8ポイント高い。今回の4-6月期だけで見ると、両エリアとも調査開始以来の最高値を示した。

首都圏を見ると、東京23区(50.5)、都下(40.1)、神奈川県(45.4)、埼玉県(44.9)、千葉県(44.7)といずれも前期比から下向きとなったものの、東京23区が50を超えた。

仲介会社からは、「ペット可を希望する人の賃貸希望額がさがっている」(千葉県館山市)や「中年から高齢一人暮らしが増えた。希望賃料もかなり低く初期費用も安くなっている」(東京都町田市)、「契約までの時間が長い傾向がある」(横浜市)、「単身者でペット飼育物件の要望が増えた感がある。一方、築年数の古いアパートの空室期間が長引いて賃料を下げてもなかなか成約に至らない」(世田谷区)といった声が上がっている。

近畿圏では、大阪府が前期比2.5ポイント上昇し、DI50と過去最高値となった。京都府は46.4(前期比マイナス2.2ポイント)、兵庫県が41.0(同マイナス3.7ポイント)だった。近畿圏の地場事業者は、「5~6月にファミリー層が例年にないほど動いた」(大阪市)や「全体的に賃料は減額希望。貸し主と借り主の希望賃料の差がより開いた感覚がある」(神戸市)などの回答があった。

次期の見通しは、首都圏はいずれのエリアも下げ幅を拡大するとし、近畿圏が京都府でDI50を回復するほかは下げに転じると想定している。


公開日: 2018年8月7日