東京カンテイは5月8日、仙台市内の中古マンション価格が東日本大震災後に30.7%上昇したと発表した。震災前後で同市内の中古マンション市場動向がどのように変わったかを調べた。
震災前後2年間の中古の平均坪単価は震災前の58.8万から56.5万円と下落していたが、震災後に58.6万から76.6万円と急上昇していることがわかった。市中心部の青葉区では震災前の下落基調から一転し、震災後には59.5万から79.3万円(33.3%増)と市平均を上回る上昇率を記録。震災を境に高まったマンション居住ニーズを吸収できていない。
市場調査部の井出武・主任研究員は、「ストック不足。品薄感が深刻なことに加え、物件価格の先高観により売り物件が少なく価格を押し上げている」と話す。流通事例数は、2010年第3四半期に2876件と直近のピークを記録した後に減少傾向で、震災後にさらに減少して四半期ベースで1500件前後まで市場規模が縮小した。同時期の東京23区は、価格の上昇も流通事例数の減少も発生していないため仙台市特有の動きという。
免震や制震を導入したマンションの存在感も増して価格押し上げの一因にもなっている。供給棟数の推移は、震災前の2年間に供給された新築マンション27棟のうち免震・制震装置を備えていたのは8棟(29.6%)だったが、震災後の2年間に供給した27棟のうち14棟(51.9%)が免震か制震装置を導入。宮城県の分譲マンション被災調査結果によると、昨年5月8日時点で免震マンション33棟のうち29棟で被害なし、制震マンション3棟はすべて被害なしだったことでコスト高にもかかわらず消費者の間での存在感が増しているとした。