競売の先行指標とされる配当要求終期公告件数が、東京都区部で増加に転じていることが三友システムアプレイザルの調査でわかった。09年をピークに競売の開札件数は減少傾向だったが、長引く不況を背景に今後は増加に向かう可能性もあると同社では指摘している。
配当要求公告は、競売の申し立てを受理した裁判所が、競売申立者以外の債権者に対して債権を届ける旨を通知するもの。公告がなされた物件のうち、一部は任意売却となるものの、大多数は競売市場で売却されることから競売の先行指標と言われている。
都区部の配当要求公告件数は、直近のピークだった09年上期が1791件だったのに対し、競売申し立てが一服した翌上期は前期比24・0%減の1361件だった。ローンのリスケジュールなど柔軟な対応を金融機関に求める中小企業金融円滑化法の効果も影響した。
ところが11年上期は1434件と再び増加に転じた。長引く不況で、円滑化法を利用してもなお債務者が返済に行き詰まるケースが増えていると見られる。大阪の11年上期開札件数は前期比2割増となっており、東京でも今後は開札件数が増加に転じる可能性もある。
政府は昨年、円滑化法を来年3月まで再延長すると発表した。だが施行から3年が経ったことや、延長が今回に限られる見通しであることなどから、金融機関は返済の見込みがない債権については処理を急ぐ動きが活発になっているという声もある。
不動産鑑定サービスを提供する同社では、年明けから昨年はほとんどなかったサービサー経由の鑑定依頼が増えたといい、「地方の有力金融機関などでは早めの損失処理に乗り出すところもあるようだ」としている。