野村不動産/分譲マンションで新ブランド立ち上げ

 野村不動産は、リーマン・ショック後に郊外を主戦場としていた中小デベロッパーの破綻もあって分譲マンション供給が急速に落ち込んだ郊外マーケットへ本格進出する。8月2日に分譲マンションで新ブランドを立ち上げた。低価格物件を「OHANA(オハナ)」としてブランディング化し、向こう3年間で1000戸を供給する。東京都心から30~40キロメートルの首都圏で2000万円台~3000万円台の物件を供給することで、郊外の需要取り込みを強化するのが狙い。年収400万~700万の20代後半から30代の子育て層がターゲットになる。

 規格商品化を推し進めるほか、現場管理体制の仕組みの見直し、資材のバルク発注などで建築費を抑え低価格物件を実現する。メリハリを付け消費者に納得の上質感も追求しながら高級志向のプラウド市場との棲み分けを鮮明化する。

 松本聖二副社長は、低価格のポイントについて、「(設備や仕様で必要な部材を選別し)省けるコストは省きながらもプラウドで築いたノウハウを注ぎ込み求めやすい住宅を供給する。土地代も落ち着いているマーケットだ」と話す。自走式駐車場や管理・人員計画面でも低ランニングコスト化を図る。ただ、低価格マンションの供給には、原油高などを背景とした素材価格上昇に伴う建築資材高騰が懸念材料になるが、「リスクを見極めながら在庫を抱えない販売戦略をめざす」(松本副社長)とした。

 一方、コスト削減だけでなく、安心・安全の徹底を図る。防災対応として、共用部に非常用飲料水生成システムや緊急トイレ、AED(自動体外式除細動器)などを設置するほか、専有部には手動発電型LED伝統や家転倒を防止する金具が設置可能な戸境壁を採用する。入居者が困った際に対応するサービスも導入する。

 初弾物件は「OHANA八坂萩山町」(総戸数141戸)。東京・東村山市で開発を進めており、10月上旬にモデルルームを公開する。場所は西武多摩湖線の八坂駅から徒歩5分。規模は10階建て。間取りは2LDK+サービスルーム~4LDKで専有面積が71~92平方メートル。価格は2500万円台~3900万円台。専有部の給排水管を含めて「長期間保証アフターサービス」を採用する。来年8月の竣工予定。

 オハナはハワイ語で「家族、家族の絆」を指す。


公開日: 2011年8月2日