国土交通省が発表した2011年の公示地価(1月1日時点)は、住宅地、商業地ともに3年連続して全都道府県とも下落となった。東京圏や名古屋圏を中心に底打ちの兆しもうかがえ、全国平均の下落率は住宅地が2・7%、商業地が3・8%で、前年を下回る下落率となった。
都道府県別の平均変動率を見ると、東北や北関東、中国・四国、九州の一部などでは下落幅が拡大しているものの、大都市圏を中心に住宅地で30都道府県、商業地で33都道府県で下落幅が縮小した。
08年秋のリーマンショック意向で初めて、東京圏、大阪圏、名古屋圏、地方圏そろって下落率が縮小した。国交省では「経済状況に不透明感は残るものの、下落基調からの転換の動きが見られる」という。
地方圏よりも大都市圏、商業地よりも住宅地で、より顕著に下落基調からの転換が進む。これまで大きな下落が見られた商業地も、オフィスの賃料調整が進んだほか、企業収益の回復、資金調達環境の改善がみられ、地域によっては住宅地と大差のない状況に近づきつつあるという。
贈与税非課税措置の拡大やフラット35の金利優遇拡大といった政策効果が、住宅需要を刺激した。価格調整が進み値ごろ感が高まったこともあり、大都市圏を中心に住宅地の地価は下落基調から転換した。