米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、11日付けで東京電力を格下げ方向でクレジット・ウォッチに指定したことを除けば、東日本巨大地震に伴う日本の事業会社の信用力への影響は限定的とするコメントを発表した。同社の格付け先の事業会社は、被害が大きかった岩手、宮城、福島の各県内に本拠や中核事業拠点を置いている企業や、同地域への事業の依存度が特に高い企業はなかった。
不動産業界を含めた内需関連業種について、格付け先企業への地震の直接的な影響はおおむね限定的な範囲にとどまるとした。総合不動産大手やJリートのポートフォリオは首都圏が中心であり、今回の地震の被害地域である仙台市など東北地方の比重はわずかであることから、業績への影響はほとんどないとの見通し。ただ内需関連業種は景気に遅行する傾向があり、この1~2年の不動産会社の業績回復ペースは製造業に比べると緩慢なものにとどまっているとした。今回の巨大地震により首都圏を含む広範な地域での電力供給不足による経済活動の停滞、消費心理やオフィス需要の急速な冷え込みによって業績の回復が遅れる可能性を指摘した。
また、巨大地震の影響により、東京電力の福島第一・第二原子力発電所が運転停止を余儀なくされ、首都圏を含む広範な地域での電力供給不足が起きていることから、広範な経済活動や個別企業の業績へのマイナス影響が増幅される可能性を懸念材料とした。