東京の敷金返還率、欧米と差/リクルートがリポート

 日本の賃貸住宅は、ニューヨークなど欧米の主要都市に比べ改装の自由度が限られる一方で、退去時の敷金返還率はこれらの都市を大幅に下回っていることがリクルート住宅総研がこのほど発表したリポート「愛ある賃貸住宅を求めて」で明らかになった。

 リポートでは、改装のハードルや不透明な契約制度が賃貸市場の成熟を阻害する一因になっているとして、入居者に一定程度の改装を認めたうえで初期費用の透明化や原状回復ルールの見直しを図ることなど市場活性化に向けた6つの提言をまとめている。

 調査は、東京圏(神奈川、埼玉、千葉含む)およびニューヨーク、ロンドン、パリの民間賃貸住宅居住者(15~59歳)を対象にインターネットで実施した。

 模様替え・改修に関する質問では、入居後に壁や天井などを塗り直したり、壁紙を張り替えたという回答は東京でわずか3・3%にとどまったのに対し、欧米の都市ではパリの57・5%を筆頭にニューヨーク(46・9%)、ロンドン(36・4%)といずれも多かった。

 その他、設備交換や床の塗り替えに関する回答も同様の傾向が読み取れる。このことから、退去時の原状回復が求められる日本では既存の部屋をそのまま使う入居者が圧倒的に多く、欧米では賃貸でもリノベーションが一般的に行われているようすがうかがえる。

 敷金(保証金)の平均は、東京が賃料の1・6カ月分と最も高いが、最も低いロンドンでも1・1カ月分と金額に大きな開きはなかった。一方で敷金の返還率を見ると、満額返還は東京12・2%に対し、パリとニューヨークは64%、ロンドンも63%と6割超が100%返還となっている。

 敷金精算の納得度は、東京が66・8%が「納得」「まあ納得」と回答した。他都市を見るとニューヨークは94・8%、東京を除く3都市で最も納得度が低かったパリでも86・7%だった。「全く納得がいかなかった」という回答は東京が唯一10・7%と2けた台だった。

 物件に対する満足度をたずねる質問では、18のアンケート項目のうち「満足」とする回答が半数を上回ったのが東京は「日当たり」などわずか3項目にとどまった。他の3都市では、12項目が半数を超えており、東京の賃貸ユーザーの住まいに対する満足度の低さが改めて浮き彫りになっている。
 
 これらの調査結果を踏まえ、リポートでは賃貸市場活性化に向けた6つの提言をまとめた。

 ひとつは、無個性な賃貸住宅からの脱却を図り、住まいへの愛着を高めるための「リノベーションの推進」。築20年以上の物件に対するリノベーション投資減税の導入や入居者のDIY、セルフリノベーションの奨励などを掲げる。

 次に、流動性の阻害要因になっている高額な一時金の廃止や、原状回復ルールの見直しを求める「初期費用の透明化、軽減による住み替え促進」。礼金・更新料の廃止と合わせて定期借家契約の推進を図ることも必要だと指摘する。

 また貸家の空き家率が18%を超えている現状を鑑みた「過剰供給の抑制」。さらに長期的な空き家の滅失を促す「滅失の促進、跡地の柔軟な活用」を税制と絡めて推進する。併せて、「室の工場と長寿命化誘導」を図ることも触れた。

 さらに、容積率の緩和や税制優遇などを通じて「一定規模の集合住宅へ共用空間の付置」を誘導することにより、賃貸ならではの魅力を創出することの必要性も訴えている。

 リポートは住宅総研ホームページからダウンロードできる(http://www.jresearch.net/)


公開日: 2010年10月22日