ムーディーズ/三菱地所の格付けをA1に引き下げ、見通しは安定的

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは22日、三菱地所と同社の信用補完付き子会社のMEC Finance USA, Inc.の無担保長期債務格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げた。格付けの見通しは安定的。ただし、三菱地所の短期格付け「P-1」は今回の格付けアクションの影響を受けない。

 格下げは、ここ2-3年で実施された大規模な投資により、三菱地所の財務レバレッジが大幅に悪化したことを踏まえた。また、住宅事業や資産開発事業の拡大に伴い、同社の収益の変動性が高まったことも格下げの要因としている。

 ここ数年で実施した投資の大部分は負債によって賄われ、その結果、2007年3月期には概ね30%であった三菱地所の調整後有利子負債/償却前総資産は、10年3月期には約40%にまで上昇。調整後有利子負債/EBITDAに関しても同期間に6-7倍から10倍を上回る水準まで増加した点なども挙げている。

 一方、同社の格付けの見通しは安定的。「Aa3」の格付け水準を維持するには十分ではないものの、同社の財務レバレッジは有利子負債の削減と収益の緩やかな回復によって今後改善していくことを見込むため。既に資産売却や投資抑制などを通じ、有利子負債を09年3月期の約1兆8300億円から10年3月期には約1兆7600億円へと削減。今後も有利子負債を削減する方針を評価した。


公開日: 2010年6月23日