三菱地所/来年1月に住宅分譲事業を分割・統合、特損も発表

 三菱地所は25日、住宅分譲事業を統合すると発表した。同社と三菱地所リアルエステートの住宅分譲事業を分割して完全子会社の藤和不動産を承継会社とする吸収分割。今秋に分割契約を結び、来年1月1日を分割期日とする。この統合による承継会社の名称などは未定。

 人口減少の一方、都心への人口流入やライフスタイル、世帯構成の変化、顧客ニーズの多様化といった住宅マーケットの構造変化に対応する。こうした事業環境を見据え、今後、事業戦略を高め、スケールメリットを生かした事業展開を図り、住宅開発においての競争力と収益力を高めていく方針。これらグループ3社の住宅分譲事業機能を集約し、一般消費者向けの価格帯から高額物件まで幅広い商品ラインナップを統合会社で提供する。

 4~12月期決算では、三菱地所本体のマンション販売不振を藤和不動産の黒字化によって補った格好で、住宅部門の損失額を縮小していたものの、完成在庫は2087戸と高水準だった。

 藤和不動産は、04年12月の資本提携以降、08年には第三者割当増資によって子会社化され、翌年4月に株式交換によって完全子会社となった。

 また同日、10年3月期に特別損失を計上することも発表した。固定資産収益性が低価したことで減損損失が342億円、出資先SPCの資産価値の下落が顕在化して評価損544億円を計上する。今期は、ビル賃貸事業や分譲マンションの不調などを汐留ビルの持分を系列リートに売却するなどで対応してきたが、金融危機以降の不動産市況の落ち込みが大きいことが改めて浮かび上がった。

 今後について、「11年3月期は、汐留ビル売却益の反動に加え、不動産価格の下落による含み益の減少などが業績の足を引っ張る。リートでは投資家が低キャップレートを嫌う傾向が強まっており、割高に売却してキャピタルゲインを捻出することも難しい」(証券大手)といった声もあり、当面、厳しい事業環境が続きそうだ。


公開日: 2010年3月26日