10年地価公示/全都道府県で下落/三大都市圏-年後半は下げ幅縮小

 国土交通省が発表した10年の公示地価(1月1日時点)は、住宅地、商業地ともに全都道府県とも下落となった。全国平均の下落率は住宅地が4.2%、商業地が6.1%で、前年を上回る下落率となった。ただ、把握できる都道府県地価調査(基準地価)との共通地点を見ると、東三大都市圏では後半(09年7月1日~10年1月1日)のほうが下落率が小さくなった。首都圏の近郊などの住宅地で価格調整が進み、一次取得者の住宅取得意欲が高まっていることに加え、分譲戸建住宅やマンションなどの用地取得も再開の動きが見られることが要因だ。

 地価上昇を記録した地点は、地下鉄桜通線の延伸を来春に控え区画整理などが進む名古屋市緑区の5地点と、整備中の第2東名・沼津インターに近接し医療施設の集約が進む静岡県長泉町の2地点の計7地点のみ。1970年の公示制度創設以来、最も少ない。横ばいは全国101地点で、残る2万7302地点が下落となった。

 国土交通省では「金融危機の影響と景気後退が影響した。個人の所得は減少し企業収益も低迷、実需、投資市場とも縮小し全面的な下落となった」と分析。現状について「一時取得層の住宅潜在需要の大きい大都市圏の近郊では、下落幅が縮小している。一方で、商業地はオフィスの空室率が上昇するなど厳しい環境にある」と分析している。(週刊住宅3月22日号に関東甲信地区の全地点の公示地価一覧を掲載)


公開日: 2010年3月18日