森ビル/09年3月期決算、過去最高の売上高も最終益90%減

 森ビルの09年3月期連結決算は、営業収益が前期比5%増の1787億円となり、過去最高の売上高となったものの、前期に計上した特別利益の反動と「上海ワールドフィナンシャルセンター」開業に伴う一時的な費用の発生で最終利益は90%減の41億円だった。営業利益は16%減の371億円、経常利益は27%減の173億円。
 主力のビル事業は、六本木ヒルズの一部オフバランス化により営業収益が118億円減り、1001億円。資産開発・運用事業は系列リートに開発物件を売却して183億円増加し365億円だった。
 ビルの稼働率は期末時点91%(今期予想94%)で、賃料水準は1坪当たり3万4500円(同横ばい)。六本木ヒルズ森タワーの稼働率については期末時点85%で、今期末までに95%を見込んでいる。最近は、分散していたオフィス統合に伴う引き合いが倍増しているという。リーマン・ブラザーズが使用していたフロアは野村証券が同社の日本営業を引き継いでいるため影響は出ていない。住宅の稼働率は同85%(同85%)で、賃料は1坪当たり2万4000円(同2万3000円)となり、企業の駐在外国人市場が冷え込んでいることから賃料・稼働率ともに弱含みを予想する。
 上海ワールドフィナンシャルセンターの稼働率は全体で60%の水準だが、今期中に80%を目指す。オフィス部分の稼働率は現在の50%を70%まで引き上げる計画。活発な動きを見せる中国系の証券会社や投資会社を中心に誘致活動を行う。
 今期(10年3月期)は、売上高が6%増の1900億円、営業利益はほぼ横ばいの380億円、最終利益は191%増え、120億円を計画している。プロジェクトへの投資額は700億円で、前期の1500億円から半減する。


公開日: 2009年5月28日