森トラストは4月9日、東京23区の大規模オフィスビルの供給量調査をまとめた。延床面積1万平方m以上が対象。それによると、09―10年の供給量は年間80万平方m台に留まる見通し。10年までは1年で104万平方mという過去の平均水準を下回る水準にまで落ち込む。11―12年は150万平方m程度の供給が見込まれるものの、現在の市況から計画の延期・中止が想定され、供給量が下振れする可能性が高い点も指摘した。
エリア別で09―12年までを概観すると、都心3区においての供給が全体の過半を割り込み、05―08年実績の7割にまで落ち込む。千代田区は全体の3割強を占めるものの、近年、大規模オフィス供給の核だった港区が1割までシェアが低下して江東区を下回る。大手町・丸の内・有楽町といったビジネス地区での供給が突出するが、これらに次いで供給量があるのが臨海・豊洲・大崎・五反田など都心3区以外のエリアになる傾向が鮮明になってきたとしている。
開発用地別での供給動向は、都心3区では建替え主体の供給構造が一層顕著になり、都心3区以外は低・未利用地の開発が8割を占め、臨海地区などでの遊休地の大規模開発が活発化していくと見ている。
今後の動向については、00年以降、都心3区での供給が同3区以外での供給を一貫して上回ってきたが、10年を境にその供給シェアが逆転すると見ている。ただ、都心の好立地ビルに対するニーズは依然底堅く、企業の都心回帰志向に大きな変化の兆しは見られないとし、不動産マーケットの低迷は都市機能の更新を推進する好機ととらえている。