首都圏で阪神・淡路大震災クラスの大地震が起きた場合、マンション被害総額は約1兆2500億円にのぼる可能性があることが東京カンテイの調べでわかった。特に旧耐震基準での被害が大きかった。同社では「個々の管理組合が耐震補強について協議を進める必要があるのはもちろん国レベルでも早急に対策が講じられるべき課題」と指摘している。
阪神・淡路大震災で被災したマンションの被害状況を「大破」から「損傷なし」に5分類し、それぞれの割合を首都圏のマンションストックに当てはめた。5万4136棟のうち、建て替えの可能性が大きいのは615棟でその6割以上が旧耐震基準の建物だった。
被害額は、「大破」の場合で戸当たり900万円などあらかじめ設定した補修費用から算出した。首都圏の内訳を見ると、東京都(被害額約6036億円)が最も多く、神奈川県(同3267億円)、千葉県(同1614億円)、埼玉県(同1579億円)となった。
同社では「マンション資産価値の目減りや一時的な転居に伴う費用なども発生することから、最終的な被害額はさらに拡大するだろう」としている。さらに調査は戸建てや投資用マンションを含んでいないため、総合的な被害はそれ以上になると見られる。
戸当たり何らかの負担金が生じるのは全体の47%にあたる2万5789棟だった。ただそのうち8割は「軽微」(戸当たり45万円の負担)な被害に留まる。同社では「修繕積立金が健全にプールされているかどうかで住民負担に違いが出る」とし、日ごろの管理体制の重要性を指摘する。
首都圏は、マンションストックに対する旧耐震基準の割合が26・0%と全国平均(22・1%)より大きい。特に早くからマンション供給が進んだ東京都では3割と高い専有率となっている。このため中央区などマンション耐震補強費用の一部を負担する自治体も増えつつある。
なお、大阪府でのマンション被害額は2715億円。愛知県・静岡県では1709億円だった。